時間:7月10日
テーマ:本セッション議論内容の決定
【提案1】世界的な貧困・飢餓の根絶のためにとられるべき政策は何か
近年各国の政府・企業が強く意識するようになりつつあるSDGsは、その目標として貧困や飢餓の根絶を掲げている。しかし、貧困や飢餓の根絶が国際社会の目標であったことは以前から変わらないのであり、この目標が提示されることは、これまでの国際社会の努力が全く不十分であったことを強く示唆している。
それにもかかわらず、先進諸国では国内と国外で格差是正のための正義の原則を区分し(井上 2012: 42)、発展途上国救済の責務から逃れる原理が通用している。さらに驚くべきことに、先進国の学者の中には、現在の世界の不平等が先進国中心に構成され、かつての植民地主義の痕跡を強く残している世界システムに起因しているという事実を無視し、途上国支援に関して先進国による「人道的責務」という言葉を用いることによって途上国の救済に関する先進国の加害責任を矮小化する主張をする者もいる(井上 2012: 230-231)。
このような状況下で、世界の不平等を是正し、貧困や飢餓を根絶させるためには、どのような正義の原則が用いられるべきか。また、国際社会全体として、また各国家としてどのような政策がとられるべきなのだろうか。
【提案2】普遍的正義は実現するか
パスカルが「河一つが境界をなす正義」の滑稽さを主張したのは1670年のことである(井上 2012: 13)。現在まで、正義の普遍性を巡っては数えきれないほどの議論がなされてきた。代表的な主張の一つが「価値相対主義」であり、この原則に立てば普遍的な正義は存在しないことになる。この原則は功利主義などにも応用され、広く普及しているが、果たしてこの原則を無条件に採用してよいのであろうか。
価値相対主義の危険性について、二つの点があげられる。一つ目は現状追認的な思考に陥る恐れがあること。もう一つは、同じ価値を共有する集団の内部と外部で価値の適用基準を変え、不当な差別を行うことを正当化してしまうこと(井上 2012: 18)である。
確かに価値相対主義は、一方的な価値観の押し付けによる不幸な出来事(イラク戦争など)を回避する手段になるかもしれない。しかし、無条件にこの原則を適用すれば、世界の普遍的な正義の実現の可能性は失われ、上述したような貧困・飢餓対策が行われなければならないとする根拠も揺らいでしまうのではないか。
正義の普遍性の原則を巡る諸問題と向き合い、解決策を見出すため、普遍的な正義概念の実現可能性を真剣に検討しなければならないのではないか。
【提案3】「格差・貧困問題」
・少子高齢化、再分配の問題、コロナも念願に
・アリババ、ソフトバンク、GAFAなどの「スーパースターCEO」VS エッセンシャルワーカー、製造業、配達業の人の給料&待遇
・学歴主義と貧困の連鎖:アジアモデルは今後も継続すべきか
【提案4】「歴史と教育、言論・表現規制」
・ネット上の修正主義的な言論は「表現の自由」として保障されるべきか ・愛国心、公定の歴史教育
「記憶」をどう定着させ後世に伝えていくか。
「真実」をめぐり学説や評価が分かれる場合はどうすべきか。学問の自由?
・政治と法の役割、国家と個人の人権
【議論内容の決定】
北京セッション
1、導入:正義の総論
・正義とは何か
・普遍的正義は実現できるか
2、教育政策
3、コロナ関連政策
東京セッション
4、人口政策
5、福祉関連政策
6、まとめ