国際社会分科会 (参考:昨年度分科会)
- 議長のご挨拶――応募を検討されている皆様へ
- 私たちが生きる現代世界は、流動的で不確実な性格を強く帯びています。中国の台頭に象徴されるパワーバランスの大変動は従来の国際秩序に挑戦を迫り、また冷戦終結や9/11を経て「国際社会」「脅威」「平和」といった概念そのものが大きく揺さぶられています。時代の奔流にあって、日本や中国は手探りでの前途の模索を余儀なくされています。
日中両国はいずれも、より建設的で責任ある「国際社会」への関与を繰り返し求められ、「軍隊の海外派遣禁止」「開発主義的な援助政策」「内政不干渉」など従来の原則の再考を促されてきました。その一方で、両国の外交・軍事的な自己主張には警戒・不信感が漂っており、それゆえ、ある国にとっての「責任ある」「国際貢献的な」行動が、別の国には「覇権的」「攻撃的」とさえ見えることがあるでしょう。この真っ向から衝突する認識の違いは、どうしたら乗り越えられるのでしょうか。
更に言えば、そもそも「国際社会」「平和」「脅威」などのイメージにどのような意味合いを付与するかという出発点からして、日中両国間や価値観・信条の異なる個人間でズレがあるのではないでしょうか。もし私たちが、どのような国際関係が理想的か、大切な原則は何かなどの点で意見を違えていたならばどうなるでしょうか。また、もし私たちが、他者の考えを単に偽善的だとか、時代錯誤だとか、実現不可能なユートピアニズムなどと切り捨て、対話の可能性を端から否定していたら。それどころか、もし私たちが、他者との意見の相違、価値観の相違、信条の相違が存在しているとも気付かず、気に留めさえしなかったら。
このような問題意識に立つ国際社会分科会は、北京大学の学生たちと、そしてもちろん他の東京大学の学生たちと誠実で粘り強い対話を行う場を用意します。「日中の『国際社会』への関与」という枠内での議論になりますが、具体的なトピック選定は参加者次第です。参加者は個々人の意見を表明しあうことで議論の口火を切り、お互いの意見の認知・批判・理解のために徹底的に濃密な議論を戦わせます。それは、自分がなぜその考えを持つに至ったのかという己の精神史の問い直しであり、自分の意見を裏打ちする思考回路の批判的な再検討であり、自分とは世界観を異にする「他者」との出会いとなるでしょう。このような知の格闘を経た上で、私たちは日中と「国際社会」の未来像を見据え、その「共創」を語りあいたいと思います。意欲ある参加者のご応募をスタッフ一同お待ちしています。
国際社会分科会 日本側議長
総合文化研究科国際社会科学専攻修士1年
濱村仁